贈与税とは、相手に無償で贈ったものに対してかかる税金であり、不動産売却時には無関係だと考える方は多いかもしれません。
しかしながら、不動産売却時に贈与税の支払いが発生するケースがあるので注意が必要です。
どのようなケースにおいて贈与税が発生するのか整理し、ご自身の状況と比較してみてください。
また、不動産売却時に税金を軽減する方法についてもご紹介します。
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まずは贈与税とはどのような種類の税金なのかを解説します。
どのような状況でだれが支払うべき税金なのかを整理していきましょう。
贈与税とは?
贈与税とは、現金や不動産などの財産を贈与された際に発生する税金です。
贈与とは、一方が自分の財産を無償で提供する意思を表明し、一方がその意思を受諾して財産を受け取ることをいいます。
双方の意思が合致して「あげる」「もらう」という取引が成立した場合を贈与と呼びます。
たとえば以下のような状況で贈与税が発生します。
●両親が子どもに無料で家を譲った
●第三者から土地をもらった
誰が贈与税を支払うかという点も理解しておきましょう。
贈与税は、贈与した財産の価値に応じて、贈与を受けた「受贈者」が支払いをしなくてはなりません。
財産を贈与した側には税金の支払い義務はありません。
贈与は個人間・法人間でおこなわれますが、個人から個人へ財産が譲り渡された際に発生するという点もおさえておきたいポイントです。
「個人から法人」「法人から個人」「法人から法人」に贈与された場合は、贈与税は発生しません。
贈与と譲渡の違いについて
不動産の取引において、不動産を受け渡すという意味で「譲渡」という言葉が使われますが、贈与と譲渡はどのような違いがあるのでしょうか?
贈与と譲渡の意味の違いを理解しておきましょう。
贈与とは、両親や親族、第三者へ無償で不動産を受け渡すことであり、譲渡とは対価と引き換えに不動産を譲り渡すことです。
譲渡は一般的に有償で取引がおこなわれることが多いですが、無償譲渡のケースもあります。
その場合は贈与と同様の扱いになります。
有償の譲渡としてわかりやすいものが、不動産仲介会社を通しておこなわれる不動産売却です。
不動産の贈与には注意が必要
不動産のような大きな資産を個人に贈る場合には、贈与税が思わぬ負担になりかねないので注意が必要です。
高齢の祖父母が孫に不動産を贈るというケースがあるかもしれませんが、贈与税の税率は高く設定されているので税金の支払いに苦労をかける場合があります。
受け取る側に支払い義務が発生することを頭に入れておくことが大切です。
不動産売却時に贈与税がかかるケースとは?
ここまでの解説から、贈与税とは財産を無償で受け取った場合にかかる税金だとご理解いただいたかもしれません。
基本的にはその理解で正しいのですが、金額のやり取りが発生する不動産売却時にも贈与税が課税されるケースがあります。
どのような場合に贈与税の支払い義務が生じるかをご紹介します。
贈与税が発生する不動産売却のケース①親族間取引
親族間取引とは、両親から子ども、祖父母から孫など親族の間で不動産売却をおこなうことです。
親族間取引では実際の価値よりも著しく低い金額で不動産売却をおこなうケースがあり、そのような場合に贈与税が発生します。
無償で不動産を受け渡すと贈与税が発生するので、あえて少額の売却価格を設定して、贈与ではないと見せかけることを防ぐためです。
たとえば、市場価値が1,000万円の土地を10万円で親から子に不動産売却した場合です。
この場合、税務署から指摘が入り、相場価格の1,000万円と取引価格10万円の差額である990万円に対して贈与税がかかるので注意しましょう。
ただし不動産売却は当事者同士が合意すれば価格や条件は自由に決められるので、大幅な値下げは珍しくありません。
築年数が経過していたり、経年劣化が激しい物件は、ただ同然の価格で取引されることもあるでしょう。
相場価格からどの程度低いと贈与とみなされるか具体的な目安は公表されておらず、税務署によって判断されます。
しかし売主と買主が親族や親子など特別な関係性を持つ場合、税務署が入念にチェックするため注意が必要です。
親族間で不動産売却をおこなったとしても、適正な価格で取引したケースであれば、一般的な不動産売却と同様に扱われるので贈与税は課税されません。
贈与税が発生する不動産売却のケース②法人間取引
続いてご紹介するのは法人間取引です。
関係が深い法人の間でおこなわれる不動産売却は、親族間取引と同様に、相場より低い金額で売却される可能性があります。
市場価格と売買価格が乖離している場合に確定申告で適正な処理をしていないと、税務署の調査が入り税金が生じることがあります。
法人間の取引に対する税金は法人税と呼ばれますが、実質的には贈与税と同様の意味を持ちます。
関係会社同士の取引や社長と法人の取引などは、少額での売買取引がおこなわれやすく税務署のチェックが厳しく入るので慎重な判断が大切です。
低額譲渡の取引は避けることが大切
親族間取引においても法人間取引においても、低額譲渡をおこなうと贈与税が発生します。
相場価格と大幅にずれが生じている不動産売却取引に対しては、税金が発生する可能性が高いことを頭に入れておきましょう。
税務署は登記簿謄本や確定申告によって、不動産の所有者が変わったことやいくらで売買取引がおこなわれているかを把握しています。
とくに親族や親子、法人であればグループ会社などの間でおこなわれる売買は税務署から注目されることを覚えておきましょう。
不動産売却において贈与税を軽減する方法とは?
不動産売却で予想外の贈与税が発生すると資金繰りに苦労することがあります。
税金を可能な限り軽減するにはどのような方法があるかをご紹介します。
税金を軽減する方法①不動産の適正価格を知る
まずはご自身が売却する不動産の価値を正確に把握することが大切です。
適正価格から大幅に離れた価格での取引は税務署から指摘される可能性があります。
不動産鑑定士に依頼して鑑定評価を得ることで適正価格がわかります。
不動産鑑定は国家資格を持つ不動産鑑定士がおこなうものであり、有料のサービスですが、税務調査を受けた際に法的な効力を持ちます。
親族同士での取引や関係会社間の売却だったとしても、鑑定評価に基づいた売買価格であれば妥当性を証明でき、贈与税が回避できるので税金が軽減します。
税金を軽減する方法②贈与額を調整する
贈与税には、110万円の基礎控除があるので年間110万円以内の贈与であれば税金は生じません。
不動産の評価額が110万円におさまることは少ないかもしれませんが、不動産を売却して毎年110万円ずつ贈与するという方法であれば税金がかからずに贈与できます。
現金を贈与する場合は、通帳記入や贈与契約書を作るなど、あとから証明できるように記録しておく必要があります。
不動産を現金化して数年かけて贈与するので長期の計画が必要ですが、結果的に大きく税金を軽減できます。
税金を軽減する方法③相続時精算課税制度を利用する
相続時精算課税制度とは、相続する予定の人物に財産を贈与した場合に2,500万円まで控除される制度です。
この制度を利用すると、相続するときに贈与財産を合算した税額からすでに支払った贈与税額が控除されます。
名前のとおり、相続時に贈与税額が精算される仕組みです。
精算されるというメリットはありますが、贈与時には税金を支払わなければなりません。
長期的にみて、税額が軽減する制度と理解しておきましょう。
まとめ
不動産売却時に生じる贈与税の仕組みについて解説しました。
贈与税について正しく理解しておくことは、節税対策につながります。
売主と買主の関係性によっては税務署から贈与とみなされる可能性があるので、金額設定は慎重におこない、必要があれば確定申告をおこないましょう。
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