- この記事のハイライト
- ●送電線には複数の種類があり、自宅に引き込まれている電線も送電線の一種である
- ●送電線下の不動産は、建築制限や騒音の懸念などが原因で売却価格が低くなりやすい
- ●送電線下の不動産を売却する際は、登記簿謄本や契約内容について確認しておくことが大切
売却したい家が送電線の下にあり「本当に売却できるだろうか」と不安な方もいらっしゃるでしょう。
確かに送電線が通っている不動産は敬遠されがちですが、決して売却できないわけではありません。
そこで今回は、送電線の下にある家を売却する際に知っておきたいポイントや価格に与える影響などを解説します。
名古屋市の南区・港区・天白区・緑区・瑞穂区を中心に名古屋市全体で、送電線下にある不動産の売却をご検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
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不動産売却前に知っておこう!送電線の種類
冒頭でも触れたように、送電線下にある不動産でも売却は可能です。
ただし送電線の正しい知識がないと、納得のいく不動産売却はおこなえません。
より好条件で売却できるよう、まずは送電線の種類や特徴について確認しておきましょう。
送電線の種類
送電線には複数の種類があり、自宅に引き込まれている電線も送電線の一種です。
送電線は電技省令第3条において、電圧が以下の3つの区分に分けられています。
- 低圧:交流600V以下/直流750V以下
- 高圧:交流600V超~7,000V以下/直流750V超~7,000V以下
- 特別高圧:交流、直流ともに7,000V超
直流、交流いずれも7,000Vを超える特別高圧は、大量の電気が必要となる大規模な施設や工場で利用されています。
高圧の電力を施設に引き込むためには、変電所から専用の送電線を引き込まなければならず、鉄塔などの支えも必要です。
変電所で減圧されて高圧電力となった電力は、街中に張り巡らされた配電線を通り電柱にまで届けられます。
その後、電柱の上にある柱上変圧器でさらに電圧を下げられ、配電線を通ってそれぞれの家に配電される仕組みです。
つまり発電所で作られた電気がそのまま家に届くわけではなく、最終的に一般家庭に届く電圧は100Vまたは200Vとなります。
このように、変電所を通るたびに電圧は小さくなっていき、電圧が高ければ高いほど、不動産の価格に大きな影響を与えます。
高圧線と聞くと大きな鉄塔をイメージする方も多いですが、家に引き込む配電線以外は全て高圧線です。
所有する家の近くに鉄塔がないからといって、「うちは高圧線下の家ではない」と判断しないようにしましょう。
がいしの数でおおよその送電電圧が判断できる
鉄塔と電線の間にある「がいし(絶縁体)」の数を見れば、ある程度の送電電圧がわかります。
がいしとは、鉄塔の上にある白いそろばんみたいなもので、電気が電線から鉄塔に流れないようにする役目があります。
たとえば、がいしの数が3~4個であれば送電電圧は2~3万ボルト、5~9個であれば7万7,000ボルトです。
がいしの数が多くなるほど、送電電圧も高くなっていくのが特徴です。
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送電線下にある不動産は売却価格にどう影響する?
不動産が送電線下にある場合、一般的な物件に比べて売却価格が低くなる傾向にあります。
ここでは、送電線が売却価格に与える影響を解説します。
建物の建築が制限される
建物の上に送電線があると、建物を自由に建てられません。
送電線のすぐ近くに建物を建てると、電磁波による健康被害や周辺建造物の火災による影響が懸念されるためです。
送電線下の建築制限については、送電される電力の電圧によって異なります。
電圧が17万ボルト以上では、鉄塔の真下とその側面3mまでの範囲(垂線下水平距離範囲)で建築が禁止されています。
また、定められた離隔距離(電線がもっとも下がった位置からの距離)を保たなければ、その場所では建物を建築できません。
つまり、高圧線がご自身が所有する敷地の上になくても、目の前の道路にかかっていれば建築制限を受ける可能性があります。
なお、電圧が17万ボルト以下であっても、市民の安全を確保するため、電圧の強さごとに離隔距離が定められています。
こうした制限によって買主が希望する建物を建設できないこともあり、土地の利用価値が下がる原因となっています。
電力会社からの補償金が売却額に影響する
送電線を設置すると、電気事業者から土地の所有者に補償金が支払われます。
この補償金には「土地の利用が制約されること」への対価という意味合いがあります。
補償金の受け取りも、売却金額に影響を与える要因の1つです。
もし契約締結時に一括で受け取っていた場合、買主は補償金を受け取ることができません。
そのため、補償金の分だけ売却価格を下げる必要があると考えられています。
補償金をどのように受け取ったか忘れてしまった場合は、電力会社との契約書を確認しておきましょう。
強風時の風切り音による騒音などが懸念される
送電線や鉄塔は、風にあたると風切り音を発生させます。
騒音の感じ方は人それぞれですが、なかには「うるさくて眠れない」という方もいるようです。
風の強い地域や音に敏感な買主だと、騒音を理由に売却金額の値下げを要求してくる可能性もあるでしょう。
また、騒音や建築制限がない場合でも、送電線自体に抵抗を感じて、購入を見送られるケースもあります。
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送電線下の不動産を売却する前に評価額を調べる方法
最後に、送電線下にある土地の評価基準や事前に確認しておきたい書類について解説します。
送電線下にある土地の評価基準
送電線や高圧電線の下にある土地は、通常の方法で評価された金額よりも減価されるケースがほとんどです。
国有地においては、更地価格の30%を評価額とすることが、財務省の評価基準により定められています。
更地価格は、国税庁が毎年公開する評価額である路線価に、土地の面積をかけることで算出するのが一般的です。
路線価は、国税庁のホームページで確認できるため、売却前に確認しておくと良いでしょう。
なお、相続税を算出する際は、建築制限を受ける場合は30%、家の建築が不可能な場合には50%の減価率が適用されます。
登記簿謄本で地役権設定登記の内容を確認する
送電線下の不動産を売却する際は、地役権設定登記の内容について確認しておく必要があります。
地役権とは「自己に都合がいいように他人の土地を利用できる権利」です。
電力会社は、送電線下の土地に高い建物を建てられると困るため、地役権を設定して建築制限を設けます。
地役権は登記簿謄本に登記されていますが、山間部などでは登記がされないままになっていることも多いため注意が必要です。
家の上空に送電線があるのに地役権が登記されていないときは、契約内容も含めて電力会社に確認するようにしましょう。
送電線架設保持に関する契約を確認する
地役権を設定するかわりに、土地所有者と電力会社との間で別途契約を交わしていることがあります。
この契約を「送電線架設保持に関する契約(債権契約)」といい、年払いで継続して補償金が支払われるのが一般的です。
登記簿に地役権が設定されていない場合は、送電線架設保持に関する契約を締結していないか、電力会社に確認しておくと良いでしょう。
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まとめ
送電線下にある不動産は、相場価格よりも低い価格になるケースが多いといえます。
適正価格でスムーズな売却を目指すためにも、あらかじめ不動産評価額などを把握しておくことが大切です。
あわせて、地役権設定登記の内容や送電線架設保持に関する契約についても確認しておくようにしましょう。
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